「ターミナル」

 

風景がどんどん横に流れていく車窓

 

古い外国映画のような

明滅するノイズ

 

旅の日記を書いている

 

記憶をたどると

思いが出てくる

 

思いは誰かほか人の思い出のような、、

 

思いは自分のもののようでいて

誰かほかの人のもののようで、、

 

何かを思う時、

わたしは同時に

その人になりかける

 

いつかわたしは

 

  旅をしている人になり

 

  旅を撮影している人になり

 

  撮影の映されている人にな

 

  旅の映画を見ている人にな

 

  見たことを書いている人にな

 

  連続性の中で

 

  わたしはいつか別人になる

「ピアノの練習曲」

 

のどが乾いて

駄菓子屋で炭酸水を買いきみに手わたす

水色の液体がガラスのびんに入っていて

陽にかざすとみどりとブルーの透明な影をおとす

こまかい泡のつぶつぶがのどを通りすぎる

 

夏の午後はかなかな蝉がなき出している

 

きみはいなくなる

いつかきみのからだはなくなる

キミはこの炭酸のあわのように通り抜ける

 

どこからかピアノを弾く音が風にのって聞こえてきた

 

きみは「何」だろう

 

きみを知る

それは本当にきみを知ることになるのかな

きみを思うとき

ぼくの感じるところはうごく

キュッとしたりフワッとしたりする

 

きみを知っても

きみをぼくと同期するには限界があるのかな

 

(きみのからだはなくなっても花にとけて水にとけて

ほくはいいにおいをかぐだろう

きみを見つけるだろう)

 

きみは「何」だろう

ぼくがいなければきみもいないことになるのかな、、

ぼくの目がきみを見たことがなければ、

声を聞いたことがなければ、

きみは存在しないことになるのかな、、、

 

 

ピアノの練習曲が終わったみたいだ

きみを炭酸水を飲み終わって

2人はまた歩き出した



スカート

スカート

それから、ピンク

お人形の服を

つくらなくっちゃ

ぎこちなく

笑ってみる

涙が

出てくる

言葉にしようとするということは

限定するということかしら。

今のこの思いを、もやもやを、言葉で表現しようとする。

ということは、、、

なにかが足りない、

なにかが足りない、

求める気持ち。

なにかをつかもうとしてる。

なにかに到達しようと。

なにかは自分の今のこの気持ち。

つかまえておきたい、捉えておきたい気持ち。

この重み、感じると、おなかが痛い。

白く大きく部屋が広がって、

冷たいタイル貼りの薬品のにおい、

わたしは微細な空気の一粒になって、

あの時に紛れ込んで、

今、その時のにおいをかいでいる。

それは、少し落ち着く。

気持ちが落ち着く。

冷たいタイルの壁に、やけどの二の腕を押しつけると、

こころの重みを感じる。

それは、少し落ち着く。

誰かが歌を歌ってこの部屋に入ってくる。

空気が変わって、オレンジに色になる。

それは、少し良いこと。

こころが暖かく、軽くなる。

それを、ほかの言葉に置き換えると、希望?

その気持ちに名前を付けると、希望